Pinterest(ピンタレスト)とは?インスタグラムとの違いや基本的な使い方を知ろう
みなさんは、Pinterestというサービスをご存じでしょうか?
なんとなく、「画像がメインのSNS」というイメージを持っている方も多いのではないかと思います。
実際、Pinterestはネット上の画像を自分の「ボード」に「ピン」して集めたり、他の人のボードに貼られた画像を「リピン」することもできる、画像をブックマークとして集めるツールです。
ですが、Pinterestは「ただ画像を集める」以上の意味を持つ非常に奥深いサービスで、似ていると思われがちな他の画像特化SNS、例えばInstagramとも根本的に異なります。
今回の記事では、Pinterest攻略マニュアルと題して、「Pinterestとはなにか」「Pinterestでは何ができるのか」をご紹介します。
※本記事は、Pinterest Japanの中島歩さんへの取材をもとに、ラボ向けに編集したものです。
※更新履歴
2018年8月27日:最新情報をもとに一部加筆修正しました。
2017年4月6日:最新情報をもとに一部加筆修正しました。
■目次
1.Pinterestってなに?
2.Pinterestの使い方・面白い機能
3.ただ好きなモノを集めるだけで良いPinterest。画像に特化した検索エンジンとしての展開に注目
1.Pinterestとは?
まずは多くの方が気になっているであろう、「Pinterestとは何か?」という点についてあらためてお話ししてまいります。
Pinterestとは一言で言うと、ネット上のWebサイト・あるいはPinterest上にある画像を自分のボードに集めることができる画像収集サービスです。
SNSではない!ブックマークとしてのPinterest
中島さんがお話ししていた内容の中で最も興味深かったのが、「Pinterestはソーシャルメディアではない」ということでした。
Pinterestは画像特化のSNSと思われがちですが、実はPinterestはFacebookやTwitterはもちろん、よく混同されるInstagramとも全く違うものです。
ではPinterestは何かというと、「ブックマーク(Visual Bookmarking Tool)」である、と中島さんは語りました。
Pinterestは「未来の自分のため」に使うツール
FacebookやInstagramなどの一般的なSNSでは、例えば昨日の出来事などの過去に起こったことに関する内容アップして、友達とコミュニケーションを取ることが多いかと思います。またTwitterでは、「今何をしているのか」という内容のつぶやきも多く、過去や今のお話が中心になるものです。
反面Pinterestは、「未来の自分のために使うサービス」というイメージになります。
例えば旅行を計画する際に行先を調べるためにPinterestを見たり、お出かけのためのコーデを調べたり、DIYのために参考になりそうな写真を漁ったり…といった形で、あくまでも未来の自分の行動のために情報を集めるサービスという立ち位置なんですね。感覚的には、「SNS」というよりも普通の「検索」に近くなります。
使い方も、自分で撮った写真をアップするよりも、外部Webサイトの写真や他の人がピンした写真を集めることが中心になります。画像をクリックすると、画像元のサイトにリンクするように設計されているので、まさにブックマークとしての使い方になりますね。
実際に「行動」を促すPinterest
Pinterestを利用するユーザーの行動は、主に3つのステップに分けて分析することができます。
特にPinterestでは、この「Do」の訴求が他のサービスと比べて高いのが特徴的です。
Doというのはつまり、商品の購入やアクションの実行を指します。ユーザーはそもそも情報を求めてPinterestを利用するケースが多いので、初期段階で購入意欲が高く、結果的にコンバージョン率も高くなる、という仕組みになっているんですね。
2.Pinterestの使い方・面白い機能
ここまではPinterestの概念的なお話をしてきましたが、次の項目では具体的に「Pinterestをどう使えばいいのか」「Pinterestを使って何ができるのか」といった点についてお話ししてまいります。
独特の世界観や文化を持っているサービスであることがおわかりいただけるのではないかと思います。
Pinterestにユーザー登録する方法
手順1:Pinterestのサービスサイトにアクセスします。
手順2:メールアドレスで登録する場合は、メールアドレスとパスワードを入力し「続行」をクリックします。FacebookアカウントまたはGoogleでログインすることもできます。ここではメールアドレスによる登録の手順を説明します。
手順3:次に性別を選択する画面が表示されます。
手順4:言語と国を選択して「次へ」をクリックします。
手順5:フィードを自分の興味や関心にカスタマイズすることができます。トピックを5件以上選択して「完了」をクリックします。
ブラウザボタンをインストールする場合は「今すぐインストール」をクリックします。
手順6:以上で登録は完了です。ホーム画面の右上に自分のアカウント名が表示されます。
Pinterestの基本画面
Pinterestを開くとホーム画面が表示されます。
ここに表示される画像は、自分がフォローしているユーザーやボードの画像、あらかじめ登録した自分のインタレスト(興味)と関連性の高い画像、過去に検索したワードと関連している画像などが含まれます。
各画像を開くと、次のような画面に推移します。画像を保存できる画面です。
また、全体的にスマートフォンに最適化された設計になっており、操作も非常にシンプルです。実際に使ってみると、関連した情報にもアクセスしやすく、使い心地のよさがわかるでしょう。モバイルからの利用が増加するユーザー状況に合わせて、UIを進化させています。
「ピン(Pin)」と「リピン(Repin)」
Pinterestの最も基本的な機能に、ピン(Pin)とリピン(Repin)があります。
ピンとは、Pinterest外のWebサイトにある画像をお気に入り登録して自分のボードに収集することを指します。
Webサイトに専用のプラグインを導入すると、訪問者が簡単に画像をピンできるようにサイト上の画像に「Pin it」ボタンを実装することができます。またブラウザの拡張機能を使えば、Pin itボタンがないサイトの画像もピンできるようになります。
リピンは、他のユーザーがピンしてPinterest上に保存した画像をピンすることを意味します。
ピンするボードを選択し「保存」することで、リピンが完了します。
ピン/リピンについては、以下の記事でより詳細に解説しています。
【Pinterest】基本操作の「ピン」「リピン」とは
「画像の保存」ではなく「サイトの保存」に近い
画像をピン/リピンすると、自動的に画像の引用元のURLがひもづくので、感覚的には「画像を保存している」というよりは、「Webサイト・ページを保存している」ものに近い、と中島さんは教えてくださりました。まさにブックマークとしての使い方になりますね。
ハイクオリティな画像検索機能
画像の一部をフォーカスした検索ができる
2015年11月10日、新しい画像検索ツール「ズームイン検索」が導入されました。
この新機能はPinterest内で使えるもので、表示している画像の中から範囲を選択するだけで、似ている画像を自動的に集めてくれます。例えば、以下のように気になった椅子や食器のインテリア写真でユーザーが「ズームイン検索」を使うと、似た形や似た色、素材から商品を検索・比較をしてくれます。
詳しい使い方は以下の記事でご確認いただけます。
Pinterestに新機能…ズームイン検索で関連画像に簡単アクセス、EC運営担当必見
類似画像の検索も簡単
Lensという機能を使えば、気になった写真の類似画像を検索できます。
例えば、ユーザーが旅先のレストランで料理の写真を撮ったとします。同じ料理をまた食べたくてもお店は近くにありません。そんなときに類似画像検索を使えば、似た料理のレシピやそれを提供する店の情報にたどり着けるかもしれないのです。
類似画像検索は、Pinterestアプリのカメラから写真を撮影するか、カメラロール内の写真を選択することで利用できます。
Pinterestアプリのカメラで撮影するか、カメラロール内の写真を選択します。
詳細「…」から「似ているピンを検索」を選択すると、類似画像検索で似ている料理を提供するお店の情報やレシピにたどり着くこともできます。
「アイテムタグ」を使えばワンクリックで類似商品を見つけられる
アイテムタグピンは、ピン画像の中の個々のアイテムを示す白いドットで表示されます。気になるアイテムを見つけたらこの白いドットをクリックし、そのアイテムの詳細を確認したり、類似しているアイテムを見つけることができます。
参考:https://www.pinterest.jp/pin/733875701755435227/
キーワード検索のアルゴリズムにも特徴が
Pinterest上でキーワードを入力して、画像を検索することもできます。
Pinterestの検索で面白いのは、検索窓に入力した文言が含まれていないにも関わらず関連性の強い画像も上位に表示されるという点です。
例えば「東京」というキーワードをPinterest上で検索にかけると、画像のタイトルやディスクリプションに「東京」という文言が含まれていない画像も沢山表示されます。
これは、リピン先のユーザーのボードに入っているキーワードも検索対象となっているため起こる現象だそうです。例えば「東京」の例だと、「東京」という言葉を含むボードに沢山リピンされている画像が表示されやすくなる、という仕組みです。
もちろんそれだけではなく検索のアルゴリズムは非常に複雑ですが、そういった形で画像のキーワードがユーザー主導で成形されていくので、非常に関連性の精度が高い画像が表示されやすくなっています。
日本で使われ始めた当初は英語メインでしたが、今は言語設定をすれば日本語の検索結果が優先的に表示されるようになっており、利便性も向上しています。
参考:
【Pinterest】検索結果をローカライズ、サジェスチョン機能も日本語に対応
保存先のボード
画像をピン/リピンしたら自身のボードに保存されていきますが、保存するボードに「お気に入り」「夏コーデ」「料理」などの名前を付けることができます。
この画像の保存先のボードの名前というキーワードはこの先にも出てきますが、Pinterestのユニークさを生み出すのに欠かせない要素の一つです。
「保存先のボード」から消費者の「意向」が読み取れる
画像が他のユーザーにリピンされると、画像の持ち主には誰のどういった名前のボードにリピンされたかの通知が届きます。
例えば同じ洋服の画像一枚をとっても、「お気に入り」という名前のボードに保存されているケースもあれば、「購入予定」や「プレゼント用」などなど保存先のボードの名前は様々で、各ユーザーが何のために画像を保存したかが見えてきます。
企業目線で考えると、ユーザーがそれぞれその画像・情報を何のために使うのかが見えてくるので、Pinterestの「保存」は「意向」も意味するということにもなり、かなり精度の高いフォロワー分析にも繋がります。こういった企業目線のPinterestの使い方は、第二弾で詳しく解説させていただきます。
ボードの見せ方にひと工夫!Pinterestの企業活用事例30選
関連するピン
Pinterest上で画像を開くと、ページ下部に関連するピンや関連するボードが表示されます。
ここに表示される画像は、例えば同じ画像をピンした人が保存している別の画像や、似たような名前のボードに保存されている画像など様々で、なかなかうまく関連する画像が表示されるようにできています。
自分自身の「発見」にも繋がる
中島さんは、この「関連するピン」からPinterestにハマっていく人も多い、と語ります。
例えば服のコーデにしても、なんとなく良いなと思ってピンした画像の関連するピンからどんどん自分の好きなモノを見つけていくことができ、結果的に「自分はこういうのが好きだったんだ」という自分自身の発見にも繋がっていくのだそうです。
風景画像でも特に深く考えず好きな画像を集めていると、じつは特定の地方の画像に偏っているのがわかってきて、次第に自分が好きなのはこの辺りの国なので今度行ってみたいな、といったことが見えてくる仕組みです。
「ボードだけ」をフォロー
Pinterestでは他のユーザーをフォローすることができますが、ユーザーの特定のボードだけをフォローすることもできます。
興味のあることのみで人と繋がれる設計
例えばとある男性Aが集めている動物の画像が好きで、女性Bはその画像を沢山見たいと思って男性Aをフォローしたとします。
そうすると、動物の画像以外にも男性Aが集めている、例えば車の画像が女性Bにも表示されるようになり、車にそこまで興味のない女性Bにとってはあまり必要のない画像も流れてきてしまいます。
そういった状況にならないように、Pinterestではボードだけをフォローすることができます。
Pinterestでは、ユーザー同士のコミュニケーションも起こりますが、どちらかというと商品に関する内容が多く、とにかくユーザーの「興味」をメインに据えた設計が徹底されています。
企業やブランドの世界観をより深く伝えるPinコード
Pin コードとは、Pinterest独自のQRコードのようなもので、Pinterestアプリでスキャンすると、特定のプロフィールもしくはボードにたどり着くことができます。
例えばファッションブランドの店内に設置されたPinコードをスキャンすると新作コレクションのテーマや、製品に沿ったボードにユーザーを誘導し、その世界観やコンセプトをビジュアルで訴えることができます。企業にとってはブランディングやビジネスチャンスのきっかけとして利用することも可能です。
Pinterest活用イメージ
人気ピナーたちから学ぶ、Pinterestの”おシャン”な活用方法〜Pinterestイベントレポート〜
Pinterestの魅力を紹介するとともに、人気ピナーたちがどのような点に着目してPinterestを使っているのか紹介をしています。例えば、「プロフィール写真と自己紹介、自分のブログ等を貼る」という基本的な部分から、「縦長の写真を入れるべき」「一押しのボードは左上に置く」といった細かなノウハウまで、人気ユーザーになるための情報が載っています。
【保存版】Pinterestの企業活用30選 〜いかに”ブックマーク”するのか〜
まだまだ日本では、ユーザー数も発展途上ではあるPinterest。すでに公式アカウントを開設している日本企業(主に販売業、旅行業)の事例を紹介しています。Pinterestは情報を発信するSNSではなく、未来に行動するために準備するブックマークツールもしくは検索サービスという位置づけのため、「共有」するSNSであるFacebookやTwitterなどとは運用の仕方が異なります。ページへのフォロワーが少なくても「共有ボード」をうまく活用することで広く多くのユーザーの目に触れることができます。
▼UNIQLOの公式Pinterestアカウント(https://jp.pinterest.com/uniqlo/)
3.ただ好きなモノを集めるだけで良いPinterest。画像に特化した検索エンジンとしての展開に注目
今回の記事では、一般ユーザー目線で「Pinterestとはなにか?」というお話をしてまいりました。
「PinterestはSNSではなくブックマーク」ということには最初は驚きましたが、確かに中島さんのお話をお伺いする限り、あくまでもPinterestでは「他者との繋がり」よりも「いかに自分の興味のあることを見つけられるか」ということを重視して設計されていることがわかりました。
「SNS疲れ」という言葉も出始めている昨今、純粋に自分の好きなモノだけを集めて楽しむことができるPinterestは、案外今の風潮にマッチしているのではないかと個人的に感じました。
そして、Pinterestの今後の展開も非常に興味深いです。Pinterestは画像検索関連の機能を続々と強化しており、画像に特化した検索エンジンを目指しています。Instagramのハッシュタグ検索の浸透によって画像ベースの検索は一般化しており、自分の欲しい情報を画像で直感的に探す傾向は強まっていくと考えられます。
現状、画像で情報を探すために使うのは、Instagramだという人が多いでしょう。しかしながら、Instagramの検索体験は、まだまだ洗練されているとは言えません。検索にはハッシュタグが使われますが、必要な情報が見つかるハッシュタグを選び出すのが難しかったり、ハッシュタグがひとつしか設定できなかったりと、「簡単に検索できる!」わけではないのです。InstagramはSNSであり、検索エンジンではないため、当然といえば当然です。
その点Pinterestはズームイン検索機能や類似画像検索機能を追加するなど、画像検索機能に改良が重ねられています。キーワードを使った検索でも複数キーワードを指定できるため、今までの検索とより近い感覚で使えます。
さらにPinterestの場合、画像にはピン元のURLが紐付いているためより濃度の高い情報を得られる可能性が高いです。SNSでパンケーキ屋さんを探す場合を想定してみましょう。食べたいと思うパンケーキの画像を発見したとしても、投稿したユーザーが店舗に関する情報を記載していなければ、そのパンケーキ屋さんにたどり着くことはできません。しかしながらPinterestであれば写真はURLと紐付いているため、なんらかの店舗情報が掲載されているページにたどり着きやすいのです。